THE ONLY FAT THING TO DO

(観てはいけないTRON LEGACY・前編 からの続き)
【演出がダメ】
とにかく、全体を通じて、演出が凡庸…ってかド下手。
今回「TRON LEGACY」のメガホンをとったのは、映画初監督の Joseph Kosinski君(36歳)だけど…
『ハリウッドにも、こんなに演出の下手な監督が居るんだなあ…』と、しみじみ感慨に耽っちまったよワシ。
まず、パクリシーンが多過ぎる。しかも、今どきマトリックス(99年)からだとよー。
旧「TRON」からオマージュし放題だからこその「続編」なのに…なぜわざわざ他の映画からパクるのだ??? 理解に苦しむ。
相変わらず「スローモーションでのギリ避け」ばっかやってる。しかもそれをしつこく繰り返す。
(ハリウッドはそろそろ、ギャグ以外の演出でこれやった監督は全員逮捕するべきだ)
クライマックスのCLUの大ジャンプは、構図カット割りからCG処理からスローモーションまで、まんま「トリニティの大ジャンプ」だ。あの、手をバタバタさせるやつ。観てるこっちが『大丈夫?訴えられない?』と不安になるくらい。
同様に、ガジェット・モービルが登場するたびに、いちいちスローモーション。
スローモーションになったら、『このシーンかっこいいでしょ?』の合図。
しかも、そのパターンも長続きせず、みるみる中盤から中だるみする。後半に差し掛かるころには、完全に息も絶え絶えになって、挙句に、失笑するようなギャグに逃げたり。
結果、物語が進むに連れて主人公の影がどんどん薄くなる。
所期の「スポーツ万能で命知らず」って設定がすっかり消えて、いつの間にか、ただ「そこにいるだけ」の、額の狭いニーチャンになってしまう。
中盤以降の戦闘はすべてクオーラに助けられ、ラストの空中戦ではトロンの特攻に助けられ、クライマックスでは父ちゃんに助けられ、現実世界に戻ったら、アランにがっつり面倒みてもらう決意を固め…それでいいのかギャレット・ヘドランド。劇中にわたって、自分ひとりの力で勝利したイベントは皆無だぞ?
…逃走劇としてはおろか、主人公の成長物語ビルドゥングスロマンとしても、完全に失敗作なんだよな。鼻息。
【まとめ】
それでも、あえて最も根深い元凶を挙げるなら…やっぱりデザインだと思う。デザインワーク最悪。
去年2009年春のCOMICONで、「LEGACY」先行映像が初公開されたあたりから、向こうのギークたちが「カッコいい!」と騒ぎ始めて。ワシは『そうかあ?』と首を捻りつつも、水をぶっかけるのも悪いから、黙っていた。
本当はシャクにさわっていたのだ。旧TRONのメビウスデザインを完全無視するのは、冒涜だと思っていた。内心ではハラワタ煮えくり返ってた。。
たが、旧作のデザイナーをオミットして大名作となった「エイリアン2」の前例もある(いみじくも、同メビウス参加作品だ)。そういった形で「TRON LEGACY」が、オリジナルの「TRON」の評価に貢献してくれるならば…と、先走る酷評ダメ出しをグッと抑えこんでいた。
だけど今回、「TRON LEGACY」をこの眼で観てハッキリした。
やっぱりカッコ悪いよ。
プログラムたちの服は、黒地のライダースーツとビニールガッパにしか見えん。いや、みんな目を覚ませ! これただのライダースーツじゃん!!
白色系のスーツデザインにしても、メイクと合わせて、やたら80年代ニューロマンチック風。観ていて何度も、「カルチャークラブ」や「デュラン・デュラン」が頭をよぎった(それが悪いわけじゃないけど、オリジナリティに欠けるってこと)。
世界観…というかインテリアデザインにしても、せいぜい、「デザイナーズ・マンション」どまり。
黒色系の部屋は、あまりにダサ過ぎて記憶にすら残らない(ヴァージンメガストアのCD売り場みてえ)。白色系の部屋はまだマシだが…それでも、LADY GAGAの「BAD ROMANCE」の部屋と2001年宇宙の旅の「スターゲイト部屋」の域は出てない。
高級ぶってるけど、全体的に「吉祥寺パルコの地下」ていどのゴージャス感なんだよねえ。
そもそも、バイクに乗るキャラクターの造形として、ライダースーツとヘルメットって…普通じゃん。凡庸じゃん。俗物じゃん。
…要は、「全然SFじゃない」ってこったあ!!

今さらワシが言うまでもないことだけど、旧「TRON」だって、ストーリー映画としての出来は、決して褒められたものじゃあない。矛盾だらけなうえに説明不足だし、演出だってチョー粗い。果てしなく「夢オチ」だし。
そんな欠点のかたまりみたいな映画が、独創性と奇抜さを併せ持ったアイデアとデザインをコアにして、ワシらのようなSF者をメロメロにして、30年間も惹き寄せ続けて来たのだ。その求心力たるや、まさにセンス・オブ・ワンダーの真骨頂だろう。
幸いにも「TRON LEGACY」は、「無かったことになる」レベルの駄作だ。公開から一週間過ぎた現時点で、すでに予想収益を下回り始めたらしいし…年明けには話題にも上らなくなって、一年も経てば完全に忘れ去られると思う。
なので、旧TRONにもSF映画界にも、まったく実害は無い。むしろ、もし旧メビウスデザインを踏襲されて、今回の破綻ストーリーを展開されていたら…と思うとゾッとする。いやあ、良かった良かった。軽く祝杯あげたいぐらいだ。
ワシ個人的にも、この一年間の締めとして、なぜ旧「TRON」がこれほど面白いのかを再確認できる機会にはなった。その意味では「TRON LEGACY」よ、どうもありがとう。
みなさんも今年一年間、お疲れさまでした。Merry cyber Christmas! & 良いお年を!
たったひとつの馬鹿げたやりかた
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観てはいけないTRON LEGACY (後編) [ファット・イエロー・SFマン・ブルース]

(観てはいけないTRON LEGACY・前編 からの続き)
【演出がダメ】
とにかく、全体を通じて、演出が凡庸…ってかド下手。
今回「TRON LEGACY」のメガホンをとったのは、映画初監督の Joseph Kosinski君(36歳)だけど…
『ハリウッドにも、こんなに演出の下手な監督が居るんだなあ…』と、しみじみ感慨に耽っちまったよワシ。
まず、パクリシーンが多過ぎる。しかも、今どきマトリックス(99年)からだとよー。
旧「TRON」からオマージュし放題だからこその「続編」なのに…なぜわざわざ他の映画からパクるのだ??? 理解に苦しむ。
相変わらず「スローモーションでのギリ避け」ばっかやってる。しかもそれをしつこく繰り返す。
(ハリウッドはそろそろ、ギャグ以外の演出でこれやった監督は全員逮捕するべきだ)
クライマックスのCLUの大ジャンプは、構図カット割りからCG処理からスローモーションまで、まんま「トリニティの大ジャンプ」だ。あの、手をバタバタさせるやつ。観てるこっちが『大丈夫?訴えられない?』と不安になるくらい。
同様に、ガジェット・モービルが登場するたびに、いちいちスローモーション。
スローモーションになったら、『このシーンかっこいいでしょ?』の合図。
しかも、そのパターンも長続きせず、みるみる中盤から中だるみする。後半に差し掛かるころには、完全に息も絶え絶えになって、挙句に、失笑するようなギャグに逃げたり。
結果、物語が進むに連れて主人公の影がどんどん薄くなる。
所期の「スポーツ万能で命知らず」って設定がすっかり消えて、いつの間にか、ただ「そこにいるだけ」の、額の狭いニーチャンになってしまう。
中盤以降の戦闘はすべてクオーラに助けられ、ラストの空中戦ではトロンの特攻に助けられ、クライマックスでは父ちゃんに助けられ、現実世界に戻ったら、アランにがっつり面倒みてもらう決意を固め…それでいいのかギャレット・ヘドランド。劇中にわたって、自分ひとりの力で勝利したイベントは皆無だぞ?
…逃走劇としてはおろか、主人公の成長物語ビルドゥングスロマンとしても、完全に失敗作なんだよな。鼻息。
【まとめ】
それでも、あえて最も根深い元凶を挙げるなら…やっぱりデザインだと思う。デザインワーク最悪。
去年2009年春のCOMICONで、「LEGACY」先行映像が初公開されたあたりから、向こうのギークたちが「カッコいい!」と騒ぎ始めて。ワシは『そうかあ?』と首を捻りつつも、水をぶっかけるのも悪いから、黙っていた。
本当はシャクにさわっていたのだ。旧TRONのメビウスデザインを完全無視するのは、冒涜だと思っていた。内心ではハラワタ煮えくり返ってた。。
たが、旧作のデザイナーをオミットして大名作となった「エイリアン2」の前例もある(いみじくも、同メビウス参加作品だ)。そういった形で「TRON LEGACY」が、オリジナルの「TRON」の評価に貢献してくれるならば…と、先走る酷評ダメ出しをグッと抑えこんでいた。
だけど今回、「TRON LEGACY」をこの眼で観てハッキリした。
やっぱりカッコ悪いよ。
プログラムたちの服は、黒地のライダースーツとビニールガッパにしか見えん。いや、みんな目を覚ませ! これただのライダースーツじゃん!!
白色系のスーツデザインにしても、メイクと合わせて、やたら80年代ニューロマンチック風。観ていて何度も、「カルチャークラブ」や「デュラン・デュラン」が頭をよぎった(それが悪いわけじゃないけど、オリジナリティに欠けるってこと)。
世界観…というかインテリアデザインにしても、せいぜい、「デザイナーズ・マンション」どまり。
黒色系の部屋は、あまりにダサ過ぎて記憶にすら残らない(ヴァージンメガストアのCD売り場みてえ)。白色系の部屋はまだマシだが…それでも、LADY GAGAの「BAD ROMANCE」の部屋と2001年宇宙の旅の「スターゲイト部屋」の域は出てない。
高級ぶってるけど、全体的に「吉祥寺パルコの地下」ていどのゴージャス感なんだよねえ。
そもそも、バイクに乗るキャラクターの造形として、ライダースーツとヘルメットって…普通じゃん。凡庸じゃん。俗物じゃん。
…要は、「全然SFじゃない」ってこったあ!!

今さらワシが言うまでもないことだけど、旧「TRON」だって、ストーリー映画としての出来は、決して褒められたものじゃあない。矛盾だらけなうえに説明不足だし、演出だってチョー粗い。果てしなく「夢オチ」だし。
そんな欠点のかたまりみたいな映画が、独創性と奇抜さを併せ持ったアイデアとデザインをコアにして、ワシらのようなSF者をメロメロにして、30年間も惹き寄せ続けて来たのだ。その求心力たるや、まさにセンス・オブ・ワンダーの真骨頂だろう。
幸いにも「TRON LEGACY」は、「無かったことになる」レベルの駄作だ。公開から一週間過ぎた現時点で、すでに予想収益を下回り始めたらしいし…年明けには話題にも上らなくなって、一年も経てば完全に忘れ去られると思う。
なので、旧TRONにもSF映画界にも、まったく実害は無い。むしろ、もし旧メビウスデザインを踏襲されて、今回の破綻ストーリーを展開されていたら…と思うとゾッとする。いやあ、良かった良かった。軽く祝杯あげたいぐらいだ。
ワシ個人的にも、この一年間の締めとして、なぜ旧「TRON」がこれほど面白いのかを再確認できる機会にはなった。その意味では「TRON LEGACY」よ、どうもありがとう。
みなさんも今年一年間、お疲れさまでした。Merry cyber Christmas! & 良いお年を!
2010-12-24 17:00
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